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2025/07/24 19:56

今回は、冷たい緑茶のお話。
私たちは365日お米を食べて暮らす米屋なので、その傍には必ずお茶があります。

夏の暑さが本格化すると、どうしても冷たい飲み物に手が伸びます。麦茶や水出し緑茶、お茶以外には梅ジュースなど、日々、様々なものをいただいていますが、今年の夏、私は「お湯で淹れた緑茶を氷で冷やして飲む」という、少し手間のかかる方法をおすすめしたいと思います。

お湯で淹れて、氷で一気に温度を下げるこの飲み方には、いくつかの理由があります。それは単なる嗜好の問題ではなく、緑茶という飲み物が持つ本質的な魅力を引き出すための、ひとつの工夫です。

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香りを楽しむなら、やっぱりお湯出し

お湯で淹れる最大の利点は、まず香りの引き出し方にあります。
緑茶には多くの香気成分が含まれており、それらは主にお湯の温度によって揮発し、立ちのぼってくるものです。

特に煎茶や玉露のような日本茶は、熱によって生まれる香りがとても豊か。水出しでは穏やかでまろやかな甘みが出る一方で、香りが控えめになりがちです。
だからこそ、お湯で淹れることで初めて味わえる、青葉を思わせる清々しさや、湯気とともに広がるふくよかな香りを、氷で冷たくしながらも存分に楽しめるのです。

渋みが引き締まり、余韻はすっきり

味の面でも、お湯出しには利点があります。
高温で抽出することで、緑茶のもつカテキンやカフェインといった成分がよく出ます。これがいわゆる「渋み」や「苦味」の元となるのですが、氷で急冷することで、その渋みがキュッと引き締まり、後味がすっきりするのが面白いところです。口に含んだときはしっかりとした味わいがありながら、すぐに消えていくその余韻は、暑い夏にぴったりの清涼感をもたらしてくれます。

グラスに映える、涼やかな緑

お湯で抽出した緑茶は、氷と組み合わせることでとても鮮やかな緑色を見せてくれます。透明なグラスに氷とともに注がれた一杯は、それだけで涼を感じさせてくれますし、おもてなしにも喜ばれるはずです。
食卓やデスクの上に、そんな一杯があるだけで、少しだけ背筋が伸びる気がするのです。

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氷冷緑茶のつくり方

特別な道具は必要ありません。日常的に使っている急須と、たっぷりの氷、そしてお気に入りのグラスがあれば、それで十分です。

(1)急須に茶葉をやや多めに(1人分で3〜4g程度)入れます。
(2)70〜80℃のお湯で30〜60秒ほど蒸らします。
(3)たっぷりの氷を入れたグラスに、熱いお茶を一気に注ぎます。

※熱いお茶を注ぐ際は、耐熱グラスを使用することをおすすめします。急な温度変化でガラスが割れる恐れがありますので、くれぐれもご注意ください。

冷水でじっくり時間をかけて抽出する「水出し」とは違い、急冷することで、香り・色・味のすべてが一瞬で際立つのも魅力です。

丁寧に淹れる、夏のごほうび

いつもより少しだけ丁寧に、でも気負わずに、ひと手間かけたお茶を淹れてみる。
それは、慌ただしい日常の中で自分を労わる、小さな儀式のようなものかもしれません。

そして、お茶のそばには、やっぱりお米がある。
塩むすび、冷やし茶漬け、夏野菜のごはん。どれも、冷たいお茶と相性抜群です。香ばしい玄米との組み合わせもまた格別。米屋として、そんな夏の食卓を思い描きながら、お客様にこの飲み方をお伝えできたらと思っています。

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おわりに

水出し緑茶のまろやかさも素敵ですが、お湯で丁寧に淹れた一杯を、氷でキリリと冷やして味わう「氷冷煎茶」は、暑さを和らげ、心まで整えてくれるような、特別な飲み物です。

ちょっと手間をかけてでも、
「いいお茶、ちゃんと飲んでるなあ」と実感できる――
そんな時間を、今年の夏はぜひ味わってみてください。

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