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2025/04/04 12:35

2025年4月現在、秋田県では主力品種である「あきたこまち」を、カドミウム低吸収性を持つ新品種「あきたこまちR」へ全面的に切り替える取り組みが進行中です。この計画は、2025年度の作付けからの全面移行を目指しており、既に種もみの生産・供給が始まっています。

あきたこまちRの特徴と開発背景

「あきたこまちR」は、従来の「あきたこまち」に、カドミウム低吸収性品種「コシヒカリ環1号」を交配し、さらに「あきたこまち」を7回戻し交配することで育成された品種です。この結果、外観や品質、食味は従来の「あきたこまち」と同等でありながら、土壌中の有害物質であるカドミウムをほとんど吸収しない特性を持っています。

カドミウムは、長期間体内に取り込まれると健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、米の生産においてその吸収を抑えることは重要です。特に秋田県では、鉱山が多いことから土壌中のカドミウム含有量が高い地域もあり、これまで湛水管理などの対策が行われてきました。しかし、これらの対策は手間とコストがかかるため、品種改良による解決策が求められていました。

種もみの生産と供給状況

2024年9月、秋田県内の種子生産組合では、翌年の作付けに向けた「あきたこまちR」の種もみの収穫が始まりました。大潟村の組合では約300トン、県全体では約2,110トンの種もみが生産され、2025年2月以降、順次生産者に提供される予定です。

全面切り替えに向けた課題と議論

「あきたこまちR」への全面的な切り替えに対しては、いくつかの課題や懸念が指摘されています。一部の消費者団体や生産者からは、遺伝子改変に関する安全性や、流通時の表示に関する問題が提起されています。これに対し、秋田県は「あきたこまちR」は遺伝子組み換えではなく、従来の交配育種法によって開発されたものであり、安全性に問題はないと説明しています。

また、米価の高騰により、酒米から主食用米への転換が懸念されており、県議会でも議論が交わされています。酒米の安定供給や生産者への支援策について、引き続き検討が必要とされています。

今後の展望

秋田県は、2025年度からの「あきたこまちR」への全面切り替えを通じて、国内外の消費者に対し、これまで以上に安全で高品質な米を提供することを目指しています。今後、消費者や生産者の理解を深めるための情報提供や、円滑な移行に向けた支援策が求められるでしょう。

おわりに

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参考文献・出典
秋田県 (2023)「あきたこまちRの概要」
 https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/73119
日本テレビ (2023)「秋田県の新品種『あきたこまちR』全面切り替えへ」 https://news.ntv.co.jp/category/life/abfae34dc25f8947b9b98aea1fef18bb74
長周新聞 (2024)「『あきたこまちR』全面切替が持つ問題点 秋田県立大学名誉教授が指摘」
 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32770